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梅乃宿とは04 日本酒を造り伝える幸せ

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酒を造るということは、日本の文化を継承するということ。
酒文化の伝道する梅乃宿のポリシーをご紹介します。

酒造り
vol.10 杜氏とは、日本酒業界と酒蔵の歴史を背負える職人。 杜氏 北場 広治

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杜氏 北場広治

中学生の頃、今年の新酒ができたというニュースをテレビで見て、固い米からお酒という液体ができる不思議さに魅了され、自分でも日本酒を造りたいと考えるようになりました。杜氏という存在を知ったのは、日本酒業界に入ってから。その時からいつか杜氏になりたいという夢を抱いて、日本酒造りに邁進してきました。

梅乃宿は、伝統が50%、革新が50%という程よいバランスを保ちながら、新しい日本酒造りに挑戦しています。この伝統は、先代の杜氏から受け継いだ味や、長い間梅乃宿のお酒を飲んでくれている人を裏切らない味に代表される、守るべきもの。そして一方の革新は、たとえば若い蔵人の感覚を活かした味などに代表される新しい挑戦を意味します。若い蔵人が多いというのは梅乃宿の大きな強みですが、彼らはジュースが一般的な飲み物になった時代に育った世代であるため、味の感覚が我々とは多少異なります。こうした世代に合わせた味の日本酒を造れば、若い人たちに支持されるのではないかと考えています。若い蔵人だけで造りに挑戦してできる「UK-01」も、方向的には若い人に合わせたお酒。普通の日本酒よりも甘みや酸味が強く、その割に喉越しはライト。梅乃宿の伝統の味とはひと味違います。出荷するかどうかも含めて最終ジャッジは杜氏の私が行いますが、毎年どんなお酒になるんだろうというワクワク感やドキドキ感があります。

蔵人には、ある程度の基本を教えて、あとは独自で工夫しなさいという話もしています。この時、大切なのが、守るべきものは守るということ。たとえば、酒母の造りには欠かせない工程に、湯たんぽのようにお湯を詰めた樽の容器で酒母を温める「暖気(だき)」という操作があります。この樽を揺らし動かすやり方もありますが、揺らさず、じっとさせるのが私のやり方です。このやり方にもちゃんと理由があります。その操作の違いで出来上がった日本酒の味の差はすぐにはわかりません。しかし、暖気を揺らす差のように、麹やもろみの温度、1℃の違いや発酵期間の1日の差など、小さな一つひとつの操作の違いは違う味をつくる要因となり、毎日飲んでいるといつもの梅乃宿とは違うということを感じるようになります。だからこそ、些細なことでも基本を忠実に守っていくことが大切なのです。

ただし、伝統を引き継ぐための酒造りという面では守るべきものは守りますが、新しい味を作る時は方法にはこだわらないというのが私のスタイル。今後は、酒造りの工程の中で、麹づくりや原料処理、水など、一般常識とは異なる試みにも挑戦して、時代に合った新しい味をつくり出していきたいと思っています。

以前は、夏、自分の村で農業を営んで、秋になると蔵人を引き連れて蔵元へ出向き、半年間酒造りに専念するのが杜氏、蔵人の一般的なスタイルでした。今でも私は造りが始まると終わるまでずっと蔵で寝泊まりしていますが、このスタイルが伝統とは思っていません。もちろん蔵人も交代で蔵に泊まり込みますが、次のスタイルは蔵人たちが決めればいいと考えています。私は梅乃宿が年間雇用にしてくれたこともあり、サラリーマン杜氏という立場で一年を通じて酒造りに携わっています。時代やスタイルが変わっても杜氏とは、リーダーであり、日本酒の歴史と蔵元の想いを背負える人。自分の中に蓄積した技術を自分だけで終わらせてしまっては一流とは言えないのではないでしょうか。技術を伝承し、日本酒文化を守り、次の世代に伝えていけたら嬉しいですね。
 

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