酒を造るということは、日本の文化を継承するということ。 酒文化の伝道する梅乃宿のポリシーをご紹介します。
SEASON 02
酒造りの担い手たち
vol.3 キャップのわずかな傷も見逃さない。プライドをかけて商品管理を実践。
商品管理課 出荷係 早川 訓生
梅乃宿の商品管理課は、出荷係、瓶詰係、在庫品質係、業務資材係から成り立っており、それぞれがそれぞれの立場で、出来上がったおいしいお酒の品質を維持し、ベストの状態でお客さまにお届けすることに全力を注いでいます。このうち出荷係は、瓶詰めされたお酒のラベルを貼るところから出荷までを担当します。
仕事はラベルの準備から始まります。機械でラベルを貼る商品もあれば、手貼りでラベルを貼る商品もあり、こうした手順の組み立ても重要な仕事の一つです。風香のように瓶詰め後も氷温貯蔵する商品は、冷蔵庫から出すと瓶の表面が結露するため、ラベルを貼る前の準備にも気を使います。また、ラベルを貼りながら検品も行い、小さな傷にも妥協しない姿勢を守っています。
商品管理を担う人間として商品に向き合う時、一番こだわっているのが、瓶の中に詰められたお酒のおいしさです。このため、瓶詰めした商品の温度管理を徹底し、光にも当てないように気を配ることで、瓶詰め前のお酒の味が維持できるように気を配ります。
さらに、梅乃宿の顔でもある商品の外見も大切にし、ラベルが美しく貼られているか、瓶やキャップに不具合がないかなどを、感覚を研ぎ澄ましてチェックしています。商品ラベルに裏貼りを組み合わせたパターンは何十種類にも及ぶため、すべて写真を撮って管理します。また、日本酒の瓶にはめるキャップは、凹みやすく取り扱いが難しいのですが、わずかな傷や凹みがあっても商品の価値は下がります。外見が美しくない商品を出荷するのは、商品管理課のプライドが許さないと言っても過言ではないため、特に検品には力が入ります。
梅乃宿では、日本酒、リキュールとも、11時までに受注があればその日のうちに出荷します。時期や商品によっては、出荷前の検品にかけられる時間が短いことも。その短時間の間に小さな違和感に気づき、出荷ができる状態かどうかを見極めることが大切です。商品管理は、100点を取って当たり前の仕事。そんな違和感に気づき、100点を110点や120点にすることが私たちに求められているのではないかと考えています。
私にとって新しい酒文化の創造とは、家にビールがあるのと同じように日本酒があるという環境を広げていくこと。個々の家庭に当たり前のように日本酒があるということは、それだけ浸透度が高いということを意味します。まず、誰もが日本酒に親しめる環境をつくること。それが、新しい酒文化の出発点になるのではないかと思います。その日本酒が、梅乃宿の商品であれば最高ですね。
大学時代は食品工学を専攻し、発酵などの研究に取り組んでいました。研究をしたいと考えた時期もありましたが、今はまかされている仕事をしっかりこなすことにやりがいを感じています。人が気がつかないニッチな部分に気づけるのが、自分の長所。梅乃宿にとって縁の下の力持ちになれるような、見えないところで会社全体を支えていけるような存在を目指して、責任感を持って仕事に取り組んでいきたいと思っています。